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インターネットと著作権
武村 敏幸 金沢学院短期大学助教授

99.08.26


(たけむら としゆき)現在、金沢市在住。金沢大学法文学部大学院法学研究科卒。専攻は憲法。主な著書に、共著「新版教養憲法−法学・憲法−」(建帛社)などがある。
 携帯電話によるインターネット・サービスも可能となり、今やインターネットは我々の生活に欠かせない存在になってきている。時、場所を問わずだれもが簡単にアクセスできることや世界の様々な情報を瞬時に閲覧できるという利便性から今日のような急速な普及をもたらしたわけである。
 しかしながら、一方では当初からいくつかの弊害もしくは問題が指摘されてきた。それは例えばハッカーなどによる不正アクセス、有害情報の氾濫、個人情報の流出および悪用あるいは個人のプライバシーの侵害、そして著作権侵害である。
 もともとインターネットは不特定多数の人々にあらゆる情報を提供することを目的として始められたわけだが、一定のルールが確立されたうえで実施されたわけではない。それゆえ違法と知りながら利用する不法行為者もさることながら、全くの無知あるいは認識不足から違法であることを知らずに利用する人も多いと考えられる。例えばアクセスしたホームページの情報をダウンロードしたり、気に入った情報をプリントアウトしてコピーあるいは転用するなどだが、すでにこのような行為を経験している人も多いのではないだろうか。何気ないこのような行為が違法もしくは権利侵害になることがあることを知っておくべきであろう。
 では具体的にどの様な行為が違法となるのかの詳細についてはここでは触れられないが、最小限知っておくべきことは、インターネットのホームページは基本的に情報提供者のオリジナルな著作物として法的に保護されるということである。つまり、その情報を活用する場合は権利者の承諾を得る必要があるのだが、アクセスしたことは記録として残るのに対しダウンロードあるいはコピーした事実は記録として残らないうえ追跡する事も不可能であるという構造上の問題がある。
 このような著作権についての基本的内容についてもう少し触れておくと、保護の対象となる著作物とは、小説・雑誌などの出版物、音楽、映画、写真、絵画、彫刻、演劇、ゲーム・ソフト、コンピューター・ソフトなどである。これらを利用する場合は権利者に許諾を得なければならず、無断利用は禁止される。したがって、ホームページ上に他人の著作物を掲載もしくは利用するときは、権利者の許諾を得なければならないのであるが、実際には、特にMP3という圧縮技術の進展もあって音楽関連の違法サイトが数多く存在するといわれる。
 ただし、個人的に楽しむだけの目的でコピーする私的複製や教材として使用するためのコピーなどは例外として認められているほか、レンタル、カラオケ、BGM、放送および通信に利用するなど手続上許諾を得ることができない場合も許諾なしで使用することができるが、この場合は二次使用料として著作権料を支払う必要がある。また、権利者の死後50年以上経った著作物は全く自由に利用することができる。
 以上見てきたように、インターネットと著作権は密接な関係にあることが分かっていただけたのではないかと思うが、おりしも今年から来年にかけてインターネットによる音楽配信サービスが始まる予定になっており、不正コピー防止など著作権問題がさらにクローズアップされそうである。いずれにしても、インターネットが今後さらに発展していくためにはインフラの整備はもちろんとして、すべての利用者が適正な方式に則して利用していくこと、そして情報提供者も権利侵害に対するセキュリティーを完備しておくことが肝要であろう。
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