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「週40時間体制へのさんすう」
矢地 玲子 システムクリニック 代表

97.02.20


(やち れいこ)自動車製造工場にて、事務・生産管理業務に従事、その後派遣社員として各社にて事務管理システムの改善・設計、コンピューターシステムの構築・運用の調査・指導などのプロジェクトに携わる。その中で、仕事の仕方に起因する、効率の悪さや、バラツキに対する取り組みの遅れに着目。1993年より、仕事の仕方全体を通じ知的なビジネス活動が普及・実践されることを目指し、システムクリニックを展開中。
 日本人の働きすぎが指摘されて以来、日本の労働環境は今、新たな局面を迎えています。
 今後、若年労働力の減少が予想される中で、女性就業人口の増加−にもかかわらず女子学生の就職難−や中高年の雇用の見直し、また潜在する転職希望者の増大と失業者の増加予想など、需要と供給のアンバランスが目立ちます。
 しかし、企業においては、各種の休業制度への対応のみならず、週40時間労働体制への移行という現実が、待ち構えています。大企業での取り組みは、徐々に進行していますが、実質上、必要な人員が、満足に確保されていない中小企業では、確保のための条件としても、大変重要な課題であるといえます。
 そこで、週40時間労働に取り組むため、簡単な計算を行ってみたいと思います。
 まず、仮定として週44時間労働であるとし、(A)単純に44−40=4時間を、人員の補充や人材派遣などで業務の外部委託をする。(B)40時間をパーツと考えて、240 分÷40パーツ=6分、つまり1パーツについて6分の短縮努力をする。(C)今度は、仮に8時間の短縮を想定してみますと、次の計算式が成り立ちます。480分÷40パーツ=12分
 計算式(A)については、単純に不足の労力を雇用するなり、外部調達することで解決しますが、どのパーツを、つまり業務のどの範囲を、どの程度まで任せるかを選択する必要があります。計算式(B)については、一時間、または一業務について6分の短縮を心掛けようということです。これは、働く人達一人一人が、自分の仕事を手早く進めるよう努力する目安です。例えば、日本の会社の中では、書類管理の悪さから、一日に平均25分探し物をしているという、事務機メーカーの調査データがあります。これだけで週125 分にも達する訳です。これは、ほんの一例にすぎません。一つ一つの業務を見直した場合、ちょっとした努力で240 分近くの時間は、創り出せるものなのです。しかし、計算式(C)となると、話はそう簡単ではありません。この場合、個人の努力の範囲を越えて、部門や会社全体の取り組みとして考えねばなりません。それは、会社全体としての仕事の仕方を、整理・整頓する必要性があるからです。
 整理・整頓と聞くと、人は一様に「物」を想起しがちですが、情報が氾濫する今日、情報も整理する必要があります。また、様々な情報を、発信し受信する「行動」そのものが、最も重要な「整理」の対象であるといえます。会社の中で、複雑な手順で仕事をしていないか、業務やデータの重複がないか、不明瞭なツールがないか等々…。全体として、管理システムや業務行動を見直し、組み立てることにより、240 分が480 分になり得る可能性は大きいものです。
 どの計算式を選択するにせよ、一歩進んだビジネスを実現させるため、「仕事の仕方全体の改善」に取り組むことを、おすすめします。
 ただし、「おつりとして出た時間」をどう使うか明確にしておくことが大切です。時間は、余ったからといって貯蓄することも、先に使うことも出来ません。発生したその瞬間に、有効に使ってこそ価値のあるものです。
 現在、睡眠不足で悩んでいる人には、今すぐお休みになられるようご提案します。
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